3.04.2010

escapism


 
 
 —しかしながら、午前三時という時刻は、まったくいけない!医学者の説によれば、その時刻は人体の干潮に当たるという。魂がぬけ、血液の動きは緩慢になる。死をまぬがれてはいるものの、最も死に近い状態にある。眠りは死の一端であるといえるけれども、しかし朝の三時のそれは、かっと目が冴えて、さながら生き埋めになっているようなものだ!目を開けて夢を見ている。もし起き上がる力があるのなら、そのうつつな夢を猟銃で射ち殺すだろう!だが、そんな力はない。干からびた井戸の底に釘付けになっているのだ—

 レイ・ブラッドベリ「何かが道をやってくる」


 私としてはこの午前三時というやつはどんどん調子が出てくる時間帯であって、いわゆる「脳みそが裏返る」ようなある種トリップに近い状態に陥っていく時間帯である訳です。だいたいそういった時に発生するアイデアや曲といったものはそのトリップ状態を持続させるため、更なる脳内麻薬を精製させるためのものであることが多いのです。つまり起きながら夢を見ている、魂が身体が抜け出している状態を意図的に造り出しているのは本来夢というドラッグで魂が身体から解放されている訳ですが、それが出来ない状態であるからなんとかして自由になってやろう、と私の場合は音楽でそれを代用しているんだなと。


 この時間の「どこかへ行きたい」という逃避性は私はとても好きです。
 何かから逃げたいというネガティブな逃避ではなく、解放へと向かう逃避が。