7.31.2011

memo:books

『時間の本質をさぐる』
著者:松田卓也, 二間瀬敏史
講談社現代新書



—ある時間論学者が講義の最後に面白いことを言った。「わたしはたった今、ありがとうといいました。しかしここで時間が行きつ戻りつしたために、実際は百万遍ありがとうといったのです。でもみなさんは気がつかなかったでしょうけれど」…(本文より)—



『サイボーグ・フェミニズム』
編:巽 孝之
訳:巽 孝之, 小谷真理
トレヴィル



—彼は人間の美醜に気づくより先に、システム・マトリックスに惹かれるタイプの男である。すべてが終わって、語り手が言う。
「P・バーク、いまテーブルの上の屍肉となった彼女は、彼(ジョー)がこれまでに手がけた最高の人工頭脳系だ。彼は永久に彼女を忘れないだろう」
いうまでもなく、誰よりもジョーその人こそP・バークの真の二重自我であり、生粋のサイボーグ・フェミニストであった。…(本文より)—



『突飛なるものの歴史 [完全版]』
著者:ロミ
翻訳:高遠弘美
平凡社



—腕試しの力瘤とは無縁に、ひたすらキャアキャアこわがり、ゲラゲラ笑いながらお化け屋敷を探検するのでもいい。首吊り死体がぶら下がっていたり、暗がりにどんでん返しがあったり、へんな手がにょろりと伸びてきたり、髪の毛がざわざわたなびいたりと、どの曲がり角にも驚異と不安の、あわよくば笑いのとまらなくなるような冗談の頁が待ち伏せている。それを存分にたのしめばいい。…(本文解説より)—


 
『残像に口紅を』
著:筒井康隆
中公文庫



—「あ」が使えなくなると、「愛」も「あなた」も消えてしまった。世界からひとつ、またひとつと、ことばが消えてゆく。愛するものを失うことは、とても哀しい……。
言語が消滅するなかで、執筆し、飲食し、講演し、交情する小説を描き、その後の著者断筆状況を予感させる、究極の実験的長編小説。(裏表紙より)—



などなど。
ひとまずここまで。


 

 

7.28.2011

訃報

つぶやきなんかで整理出来ない。
そんな簡単に片付けられる感情ではない。
一緒にいた時間は勿論少なかったけど、それでも彼のそばにいると何故か落ち着けた。

煙草を吸いながら、お酒を呑みながら下らない話をしてくれて、
彼の柔らかい物腰にほっとすることが出来た。

最初に聴いた時のことを思い出す。
空気の匂いまで伝わってくる音楽。暖かいものに囲まれて身体が少しずつ浮いてゆく感覚。
もらったばかりのiPodにいれて、高校へ向かう春風の中自転車をこいでいった。


rei harakami "nijizou"





作り続け、残し続けていこう。
彼がそうしたように。

ご冥福を心から、お祈り致します。


  

7.23.2011

活動記録



只の覚え書き。

6月:
和田氏のプロジェクト「Braun Tube Jazz Band」のフランス公演、「Open Reel Ensemble」のスペイン公演のため海外へ赴く。
成田空港から北京を経由しパリはモンパルナス空港へ到着。夜のパリの街、それでも中心からは外れた郊外で一泊。小さな宿ではあったが若いオーナーの感じの良さに長旅の疲れも癒える。部屋から見下ろす路地は石畳。東京から遥か遠くまで来たものだと感慨にふけながら就寝。
次の日朝は雨、小さな宿の小さな食堂でクロワッサンとカフェオレを朝食に、ヨーロッパの朝を満喫。TGVにて会場のサンブリュウへ移動。3時間列車に揺られる間、窓の外に広がる草原、林、長閑な風景、牛、牛、牛…。まさに"Star Guiter"の風景が眼前に広がる。

Chemical Brothers "Star Guiter"




そしてサンブリュウ到着。空気の清涼感に驚く。深呼吸をするたびに肺の中からくすんだ空気を吐き出してゆく。駅から車で10分程の静かな町の中に今回宿泊するホテルはあった。小さな深緑色のドアを開けるとフロントには気だての良さそうなオーナー。拙い英語同士でなんとかコミュニケーションをかわし無事チェックイン。因みにホテルの向かいは猫のいるバー、隣は赤い外装のカフェ。まさに思い描いていたフランスの小洒落た景色の中に自分がいる不思議。
特に驚いたことは日本に比べて日が出ている長さが長いことである。夜の10時頃からようやく暗くなるのだが、町の商店は夜7時には閉まってしまう。なので町を歩いているとまだ周りは明るいのに道からは人が消え、まさに白昼夢の中に迷い込んでしまったかのような錯覚に陥ったのである。






一時幕間。