1.06.2011

"note"

 トロンプルイユ(逆説的遠近法)

 トロンプ・ルイユ(Trompe-l'œil、騙し絵)とはシュルレアリスムにおいてよく用いられた手法・技法である。ただし、シュルレアリスムに限って用いられるものではない。フランス語で「眼を騙す」を意味し、トロンプイユと表記されることもある。今日では解りやすく「トリックアート」と呼ばれる事も多い。
その範囲はかなり広く、例えば次のようなものが挙げられる。

 1. 壁面や床などに実際にはそこに存在しない扉や窓、人物、風景などを描き、あたかも存在するように見せかける作品
 2. 平面作品に物を貼り付けて、絵の一部が外に飛び出しているような作品
 3. 3次元の現実ではありえない建築物を描いた作品(例えば、エッシャーの作品)
 4. 人体や果物・野菜などを寄せ集めて人型に模した作品(例えば、アルチンボルドや歌川国芳の作品)。寄せ絵、はめ絵という
 5. 普通に見ると人間の顔に見えるがさかさまにしたり、向きを変えたりするとまったく別の物に見える作品(例えば、ルビンの壷)
 6. 大きさや長さについて錯覚を起こさせるような作品


 今制作しているコンクリートマイクを用いた作品では、建物の振動など普段人が耳にするには小さすぎる音を広い増幅し、逆に声等の空気の振動による音は拾われずかき消されてしまう。
 つまりこのコンクリートマイクを使うという行為によって、距離といった単純な遠近法だけでなく、「聴く」ということに対して意識のトロンプルイユがなされているのではないのだろうか。


 

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